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柄八掛
ここでご紹介している柄八掛は、長年の実戦経験の中で洗練され、淘汰されてきた人気のあるお洒落な裾回しです。生地は、紬用と錦紗(縮緬)用の両用可能な両駒縮緬です。
左図は、葛飾北斎の三女葛飾応為作「三曲合奏図」の一部ですが、黒を基調としたモノトーンの着物にひときわ鮮やかな赤い長襦袢が描かれています。江戸幕府の出した倹約令により、浪費、贅沢、派手な風俗などは禁止されましたが、それでも人目につかない下着や裏地でお洒落を楽しみました。地味で落ち着いた渋い風情の中に一点のアクセントを忍ばせることで女心や心意気を表しました。
- 柄八掛
- 柄八掛は、ぼかし染めや無地染めではなく、小紋柄や手描きの図案があります。柄八掛を付けるに当たっては、しきたりや伝統的な制約があるわけではありませんので原則的には自由に楽しめますが、礼節や格式を必要とされる場所では用いないのが無難です。従って、大島、結城、塩沢、十日町紬、京小紋、江戸小紋、色無地、お召し、訪問着などに合わせます。また、コートや羽織の裏地としてもご利用いただけます。
- 錦紗の八掛
- 付け下げ、お召し、色無地、小紋などの縮緬生地にあわせる錦紗錦紗縮緬には、ぼかし染めと無地があります。
- 紬の八掛
- 大島、結城、塩沢、十日町紬、紅花紬など、紬に合わせる紬生地の八掛にも、ぼかし染めと無地の八掛がありますが、ぼかし染めの八掛をご希望の場合には、紬地は色数が少ないので錦紗のぼかしをご利用いただくことが多くなりました。また、白大島など高級品の場合、ぼかしの八掛をご要望される場合には別染めの「お誂え染め」で対応させていただくとこも可能です。
- 共八掛
- 通常、きものの長さは3丈物と呼ばれ30寸×38cm=11,4mですが、実際には12m~13.5mくらいあります。これを着尺といいますが、八掛分3.8m(1丈)をあらかじめ含めて織り上げた4丈物の生地があります。つまり、八掛分がついていますので共八掛というわけです。色無地や江戸小紋の反物などで共八掛という場合には、表地と同じ生地で同じ色柄の裏地(八掛)がついていることになります。