暑い夏に着る薄物の長襦袢は、絽や紋紗が一般的です。この絽や紋紗には清涼感が求められるため、網目状になった風穴、すなわち無数の通気孔が織り込まれています。そのことが生地の強度やシースルーな透け感と二律背反にあることで、より高度な技術が要求されているのです。つまり、生地の強度と網目状の織り方とを両立することは難しく、特に女性としてはお洒落な透け感と下着の透過とには微妙な心遣いが必要です。
この絹上布は、そんな悩ましい女心を解決してくれる長襦袢として開発されました。強靭な紗織物ですから耐久性に優れ、涼しい上に絽や紋紗ほど透けないので安心して着られます。本来は、夏(4月~10月)日常的に和服を着る人にお勧めですが、冬でも暖かい首都圏では年中この絹上布の長襦袢を着る講師もあるほどです。絹独特の軽くてサバキの良さは抜群で、しかも、washableですから家庭の洗濯機で洗え、陰干しすれば次の日にはそのまま着られます。まさにプロ仕様の正絹washable長襦袢というわけです。
なお、この絹上布には、全体的に紬のような織節が散見されますが、これは織難や織キズではありません。製法上の特徴ですのであらかじめご了承ください。