初等科16.7. きものwashable革命が始まった

長襦袢右の長襦袢(ながじゅばん)正絹(しょうけん)(絹100%)ですが、自宅の洗濯機で洗えます。染匠(そめしょう)では、1995年からWashable長襦袢の開発に取り組んできました。当初は、洗濯の度に色落ちやちぢみが出て、とても売り物にはならないような商品でしたが、約8年の歳月をかけ実用に耐えうる柄物が出来上がりました。すでに当社の多くの着付講師が試着し、洗濯機の手洗いボタンで洗濯を繰り返しても、実用的に問題の無いことが実証されています。まだ、100%完成とは言えませんが、ちぢみ率も2%以下に改善し、色落ちもほとんど無くなりました。きものを着るたびに、洗いあがったさわやかな感触を味わえるのはたまらないようで、今ではWashableの長襦袢以外は着ない講師がたくさんいます。洗濯には中性洗剤を使いますが、ここだけの話、絹交織(きぬこうしょく)の半衿なら、半衿をつけたまま洗っても2~3回は大丈夫です。

長襦袢江戸時代に武士の公服として発達した(かみしも)は、本来両面染が一般的でした。それは、(はかま)上着(うわぎ)として着用した肩絹(かたぎぬ)は、裏側には柄がなく白く見えるからだと思われます。その染色技法を現代に受け継いだのが、この両面染めの江戸小紋です。(あわせ)のきものなら裏地を付けて仕立てますので、裏面には柄は必要ないと思われるかも知れません。しかし、実際には多くの江戸小紋が無地などで裏面も染めてあります。それは、裏面を染めることで表の色使いに微妙な奥行き、つまり、色に深みが増すからにほかなりません。また、単衣の場合は事情が異なります。表だけを染めただけでは、裏側は白く見えてしまいます。その物足りなさを補うのが両面染めの江戸小紋です。お茶席などでの()()()(まい)や、チラリと見える何気ない仕草(しぐさ)にも、お洒落感と奥ゆかしさを感じます。平均気温の上がった現代では、単衣を着る期間も長くなりました。23度を超える日は単衣(ひとえ)のきもので十分対応できるのではないでしょうか。さらに、両面染めの小紋は、お洒落な単衣の羽織に最適です。桜の花の咲くころから紅葉のころまで、盛夏を除けばジャケット感覚で気軽に着られます。冷暖房の完備した乗り物や室内では、季節に関係なく体温が保たれます。真夏にスーツの上着を着ることを思えば、単衣羽織はとてもお洒落で重宝します。

長襦袢右の大島紬(おおしまつむぎ)は、本場(ほんば)奄美大島(あまみおおしま)で織られた先染(さきぞ)めの生地(きじ)に、京友禅で江戸小紋調に加工したものです。本来、大島生地は後染(あとぞ)めには不向きですが、大島の軽くて丈夫(じょうぶ)着心地(きごこち)、さばきの良さを維持しながら江戸小紋調の柄に染め上げ、洒落感と格式とをあわせ持つ「きもの」になりました。さらに、先端技術のwashable加工を施し、自宅の洗濯機でも洗えるように仕上げました。表生地と八掛生地には大島生地を使い、収縮率が同じになるように仕立てますが、まだ、胴裏(どううら)生地との収縮率にばらつきがあります。従って、ご家庭で2~3度洗濯されたとき、表と裏の「そぐい・なじみ」に多少の狂いが生じる恐れがあります。よって、念のために無料の「修復サービス券」が1枚つけられています。 現在、大島(おおしま)結城(ゆうき)紅花紬(べにばなつむぎ)江戸小紋(えどこもん)で対応可能です。もし、シミや衿汚れなどがあれば、その部分に中性洗剤をしみ込ませて洗えばきれいになります。いつでも自宅の洗濯機で洗える正絹のきものなら、丸洗いやシミ抜き代を気にすることはありません。すでに、「自宅で洗濯できるので安心して着られる」との評価を得ています。

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初等科17.15.3
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中等科7.4.6
続・着こなし3.1.1
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