正絹Washable(絹100%)長襦袢・単衣・袷のきもの
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本格派の次世代きもの
2002年「正絹Washable長襦袢」の実用化に続き、2015年には自宅で洗える「大島・結城・紬・小紋・色無地・絽・紗・お召し」などの開発に成功しました。すでに、各地域にある当社きものカルチャー研究所の着付教室などにおいても、着付け講師や生徒が愛用し、実用的にも問題なく高い評価を得ています。自宅で簡単に洗えることから、今では「Washable以外の着物や長襦袢は着ない」という講師もたくさんいます。
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正絹Washableとは?
正絹Washableとは「絹100%のきもの」のことですが、「自宅の洗濯機で洗えるきもの」です。これまで、絹のきものを洗うには、水を使わない有機溶剤で洗うドライクリーニング、または、伝統的な「洗い張り」をしていました。ドライクリーニングは油性の汚れを落とすことに特化しており、汗の塩分などの水溶性の汚れは溶け出しにくい性質を持っています。一方「洗い張り」は、きものを解いて反物状に端縫いし、水洗いと伸子張りして布糊で生地を整え、仕立て替えをする方法です。手間や暇を惜しまない本格的なお手入れ方法ですが、やはり、費用と期間がかさみます。
そこで染匠では、かねてより正絹Washable長襦袢の開発に取り組んで参りました。当初は、洗濯する度に色落ちや縮みが出て、とても売り物にはならない商品でした。しかし、2002年、約8年の歳月をかけて実用に耐えうる製品が出来上がりました。それ以後、当社の多くの着付け講師が試着し、洗濯機の手洗いボタンで洗濯を繰り返しても、実用的に問題の無いことが実証されています。まだ、100%完成とは言えませんが、縮み率も2%以下に改善し、色落ちもほとんど無くなりました。
Washable加工は、真空状態の密閉空間で、加圧された純水(H2O)を噴霧状のマイクロミストにして生糸のタンパク質と水素結合させる技術です。つまり、いったん水素と化学反応した生糸は、水洗いしても縮まないと言う訳です。同業他社で行われている繊維へのコーティング技術とは違い、フッ素や樹脂などは使用していません。純水だけを使った加工技術は副作用もなく、体にも環境にも優しいエコ技術と言えます。今では長襦袢に限らず、多くの単衣や袷の着物に採用されています。
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洗い方、および、アイロンのかけ方
中性洗剤(エマールなど)で手洗い、または、ネットに入れて洗濯機の弱流水で洗います。袖口の汚れ、シミのある箇所には、あらかじめ中性洗剤を浸み込ませて洗えば、より効果的です。本来なら長襦袢の半衿は、はずして洗うべきものですが、ここだけの話、絹交織の生地なら2~3回は問題なく丸ごと洗えます。脱水後は、きものハンガーに掛け、室内で陰干しします。洗い上がった状態では少々シワがありますが、長襦袢なら、このままでも着られます。
単衣や袷の場合には、生乾きの状態で、シワのあるところにアイロンを軽く当てるだけできれいになります。アイロンは直接当てず、生地や色が変色しないよう日本手ぬぐいの上から当てます。また、乾ききったときには、蒸気アイロンか霧吹きを使うと良いでしょう。
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お仕立てについて
表生地には先端技術のWashable加工を施し、自宅の洗濯機でも洗えるように加工しました。裏生地にも高密度の八掛と胴裏を使い、収縮率がほぼ同じになるように仕立ててあります。しかし、このWashable製品は当社独自の製品で、仕立て方には表裏の収縮率を加減した知見が必要です。当社で訓練された一級和裁士による仕立てを推奨しています。当社以外でお仕立てされる場合には、お仕立て方法についてのサポートは承っておりませんので、自己責任でご対応くださいますようお願い申し上げます。
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免責事項
現在、Washable加工のサービス期間中です。ご購入の際、「使用許諾契約書」に同意されますと無料でご利用いただけます。Washable加工は、すべての絹織物、染色技法において効果があるわけではありません。紬、小紋、色無地、お召しなど、多くのきもので、その効果が確認されていますが、Washable加工に適さない商品もあります。あらかじめご了承ください。
| 大島(絹100%)を自宅の洗濯機で洗って乾いた状態です。 |
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| 全体 |
八掛 |
八掛 |
袖 |
衿 |
- 洗濯機で中性洗剤を使い、弱流水で洗いました。
- アイロンを当てる前の状態ですが、シワもほとんどありません。
- 収縮率は、洗濯前と洗濯後で採寸しましたが99.5%を保持していました。
- ファンデーションの衿汚れも、きれいに落ちています。
- 軽くアイロンを当てれば綺麗になります。
- 大島はWashableとの相性も良く、多くの人が洗濯を繰り返しながら着られていますが好評です。
- Washable加工は、熱処理(蒸し加工)を行いますが、その特性上、大島は、ややしなやかな風合いになります。
- Washable加工は、すべての絹織物で効果があるわけではありません。生地、染料、裏生地、仕立て方など、相性を見極めなければなりません。
- お仕立て上がりの着物、新品でない不純物を含む着物などは、加工できません。
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江戸小紋
紅花紬
結城紬
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長襦袢(正絹)
これまで、絹物の長襦袢は洗濯できないという理由で化繊の長襦袢を着られていた人も多いのではないでしょうか。化繊のきものは、静電気などで裾がまとわりつき、歩きにくいばかりか、冬は寒く夏は暑いものです。その点、繭から採れる絹の長襦袢は、冬暖かく夏涼しい。さばきが良くて、何より軽くて優しい肌触りが心地良いものです。washableの長襦袢は、自宅の洗濯機で洗えますので、普段着や仕事着として頻繁にご着用いただけます。今までの長襦袢より少し割高ですが、クリーニングを1回すれば5,000~6,000円かかりますので、1年間で元が取れるでしょう。きものを着るたびに、洗い上がった爽やかな感触を味わえるのはたまらないようで、汗ばむ時期には、その都度、洗濯機に放り込んで洗う講師も珍しくありません。きものを愛用される方なら、この素晴らしい着心地がわかってもらえるハズです。
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紬、江戸小紋、色無地でもWashable
長襦袢、単衣のきものでは、ほぼ完成したWashable技術でしたが、袷の着物のWashable化に取り組んで参りました。袷のWashableが難しい点は、表生地と裏生地との収縮率の差異にありました。しかしながら、2~3年の試行錯誤を経て相性の良い胴裏・八掛生地を厳選しました。
2015年には、すでに大島紬、結城紬、紅花紬では、当社の当社の間で日常的に洗濯を繰り返しても問題のないことが判明していました。その後、八掛付きの江戸小紋や色無地で検証しましたが、同じく問題もなく好評です。
2025年時点、まだ、Washable加工に適さない生地・染色技法が散見され、100%完成とは言えない状況です。でも、多くの紬、小紋、色無地、御召などが自宅で手軽に洗濯できることは、まさに「きものWashable革命」ともいえる劇的な変革期を迎えています。多くのシミや汚れは、中性洗剤できれいになりますが、それでも落ちにくいシミは、「着こなし入門講座」で習える「しみ抜き」技術を習得されることを推奨しています。